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35章 前世との決別




精巧に出来た模型、それがいきなり歩いてる先に出現した。五秒も走れば近づいて触れそう。
黒い何かも動かない。その黒いものが何であるか見当がつかないから私は動かなかった。
皮膚のざらざらしてそうな感じとか、手で確かめてみたいなぁ。特別展示でも模型って触れないし。
骨なんて今どきの日本じゃショーウィンドウごしで、遠巻きにしか見えなかったし。
模型の恐竜の瞼は閉じられてるところが、今のところ唯一の減点材料……って、あれ?
なんでだろう、と思ったところで私は違和感の正体に気づいた。模型は二本足でたってるけど背中に翼がある。
その恐竜には手もある。翼の先に小さい手があるんじゃなくて、二つの太い構えられた腕があって背中に小さい翼がある。
空を飛ぶには小さそうだったから、まるで元々はなかった翼を付けられたように見えた。
小さい頃に靖の家で恐竜の図鑑を開いたことがあるんだけど。それと比べて体格と翼の大きさが釣り合ってない。
恐竜に四肢があるのは普通なんだけど。んー、目を細めれば……あ、翼を見なければおかしくは感じない。
鳥は二翼一対と二足一対。どの生物も上に一対、下に一対の手足がある。それが一番安定するから。
まあ、尻尾の事は考えないにしても。私の今まで見た限りだと、ほ乳類は鯨やイルカなんかを除いたら全部四肢がある。
それに、今じっとこっちを見たまま動かない恐竜っていわば上二対、下一対。
人の腕と足に変えて考えてみると不揃いで見た目が格好つかない。やっぱり、変。
「こんな時に……嘘だろ」
灰色の髪の人の視線は恐竜のほうに注がれて一ミリも揺れない。なんだか緊張感が出てないね。
どうやら置いていかれることもなさそうだから、そのことに安心して私も模型観賞を続行した。
鋭く尖った二叉に割れた爪先は根本から離れるにつれ丸まっていってる。小型の肉食の特徴だね。
足の爪も、うん。手の爪と同じ造りになってる、それで顔の骨格は……私が恐竜の顔に目を向けたとき。

ぱかっと、金色の丸の中の黒が大きくなった。え……瞼が、開いて。瞳孔が動いた?
まず、恐竜は一度じっくりあたりを見回した。重そうにかま首をもたげた後、さっきとは反対に見回す。
その瞳は私とかちあった時に、止まった。少し大きな口が開いて研がれた犬歯がのぞく。お願いだから、こっち、来ないで……
唸りながら顎を上向けてぐるりと首を一旋させながらゆっくりと唸り始める。
それが止まった時、三対の肢体を持つ恐竜は悠然と地面を蹴って飛びかかっていた──黒いなにかも一緒に。

動かない私の前に灰色の髪の人が割り込んできたのを受けて恐竜は標的を変えた。
片方の爪を振り上げて駆けていく。けれど、その人の大振りの剣と恐竜の爪がぶつかるより前に。
「光の色よ破滅の光とともに闇に浄化を!」
黒い司祭っぽい人の言葉ともに強烈な光が空中に浮かんで宙を駆ける恐竜と地を這う黒い何かに向かってぶち当たった。
それでも恐竜は怯みもせず、魔法が確かにあたったのに消えなかった。魔法使っても消滅しない生物なんているの!?
恐竜は止まることなく鋭い二本の爪が灰色の髪の人を襲った。どっちが相手に傷を与えたのか私には見えない。
でも、私を庇ったその人が剣を横に払ったとき、小さく深い沼にはまったような嫌な音がした。
恐竜が奇声を張り上げてよろめく。自分から後ろへと跳んで大きく距離をあけた。その分数歩、人が前に出る。
大振りの剣が構えなおされる時、剣先が赤く塗れていたのを私は目にした。
私たちと恐竜の間が開いたことによって私は戦況を知った。首を振りまわす恐竜の目は二つとも閉じられてる。
あの時の音は、恐竜の目を潰したから……今度は人の凶器が恐竜の首を落としにかかった。
だけど。甲高い音と共に恐竜の皮膚は剣をはじき返して鋭い爪が灰色の髪の人の肩をえぐった。
それに声もあげずにすぐさま剣を持ってない手でえぐられた肩を庇いながらも退く。
数瞬前まで灰色の髪の人が立っていた所の壁をするどい爪がごっそり抉りとった。
「やはり、金属以上の硬度か!」
えー!? そんな相手に勝てるわけない……恐竜は首をぐるりと回して標的を私に戻した。
「清海ちゃん、魔法を!」
ミレーネさんがそう言われる間にも恐竜が奔走してこっちにかかってる。私は一番短い魔法を唱えた。
「ええとえ、そだっ! 風よ集えっエアーカッター!」
どうかこれが発動しますように弾かれませんように恐竜の攻撃が狂ってますように。もしも、魔法が外れたりしたら。
これだけはなぜか、英語が混じってる。だから短いのかもしれない。
理由はよくわかんないけどでも威力だけはあるはず。というか今ばかりはあって!

無風の中で音がたった。それは微かなうねり、けして手では捕らえられない。
でもそれが形ある物に触れた時うねりが止まり一つの刃と化して恐竜の首を刎ねた。
音をたてて、先に崩れおちた胴体に首がぶつかり一度跳ねると動きもしなくなった。
「…………」
威力、ありすぎだよ。恐竜のかま首から鮮血は勢いよく飛散して壁に付着した。
そして勢いが無くならなかった風の刃は途中ぐにゃりと曲がって天井に直撃して大きな音が起こった。
振動が冷めやらぬうちにバラバラと、天井の壁が崩れて始めていく。あ、う……もしかして。
ぼろっと白い大きな塊が天上から離れて落下してる。私の頭上に。また一つまた二つと塊が落ちる。
「お城って堅牢なんじゃないの? たかが魔法一撃で崩壊しないんじゃないの?」
しかも別に失われた古代魔法、一撃必殺の超がつく魔法じゃないよ? 魔法の本に載ってるような呪文じゃ。
どうしようつもりもないのにまたお城を破壊しちゃったよ、一体再建するのに何億かかるんだろう。
絶対私みたいな庶民が一生働いても返せる額じゃないよ。あー、人々の税金が無駄遣いされる……!
あわわわっと頭を抱えたい私の横で腕を組んで首を傾げていた黒い司祭っぽい人が言った。
「纏っているのは確かに光……ただの人間にしては上等すぎる魔力だな」
「へ? いや、それよりもあれって……落石っ!?」
「阿呆。お前の魔法のせいだろうが」
「ご、ごめんなさい……」
うん、そうです全面的に私が悪かったですごめんない。身を縮める私をレイはひょいと腕を回して掴み地を蹴り落石を回避。
専制政治とってるんでしょ、この国。それに国王が国王、あの子供だっていうし。
普段からしょーもないことに税金使って遊んでそうだよ。それでパンがないならお菓子をお食べっていうんだよー?
悩む私のことを誰も咎めない。今は、落石を避けることに注意を向けてるから。しかも落石の合間を縫って前進してる。
ごめんなさい、問題を造った本人が一番ラクだったりします。その分レイは二倍きついんだよね……
でも一度掴んでしまったからか、レイは私を手放さなかった。けど首が締め上げられてあまり喋れないし、窒息しそう。
「うー、お腹のあたりがつらいよ」
「黙れ」
すみません、私はあなたたち三人ほど落石を回避する能力は高くないです、ハイ。
大人しくしてるから放さないでね、レイ。
あれ。さっき私、三人って……ミレーネさん、何処? レイにそれを聞くつもりで見上げると睨み返された。
「おい! 魔法で外に出るのは無理なのか?」
銀髪のお兄さんが司祭系黒装束のお兄さんに問いかける。
え、なに魔法ってそんなに便利なのもあったりするの?
「こうも動き回ってたら掛けられねーんだよ。お前この状況で三十秒、止まっていられるか!?」
「いや、無理だな。悪い」
確かに静止してたら落石から逃げられない。それはごもっとも。
こうしてる間にもどんどん崩壊してきてるし。だから、ミレーネさんたら何処に。姿が前には見えない。
でも、後ろは。振りかえるとミレーネさんはのんきに立ち止まって手を振っていた。落石に潰されるよ!
そう思ったけど落石のない場所に立ってる。でもそっちにいたら落石で外に出られないんじゃ……どうして。
「ミレーネさんっ」
落ちてきた石が積み重なってミレーネさんの顔が見えなくなっていく。
その時、何か口が動いてたけど落石によってかき消されて私の耳は最後まで聞き取れなかった。
……でも。レイの私を抱える腕の力が少し強まった。顔を上げてなかったからわからなかったんだけど。
多分、感じとったんだと思う。ミレーネさんの言葉を。その言葉が指し示す意味を。所詮私の憶測、だけど。



「バイバイ。レイをよろしくね」
此処から去る四人を見送る。手を振ることは落石に隔てられるまで、止めなかった。
弟のことはもう心配ないでしょう。清海ちゃんならあの子を受け止めてくれる。
これで、心残りは一つだけ。レイはもう大丈夫、ちゃんと前に進めるようになったから。
二つあった心残りの内の片方はレイのこと。もう片方は、魔帝と呼ばれるルネス。
一年前、高位の魔物であるヴァンパイアはこの国の頂点である地位を奪いとった。
腐敗しきった貴族ばかりを抱え込み、彼らの横暴を諫しめず、諫しめる者あらば謂われなき罪が与えられる。
それはたったの一年で国の抱える闇を明かにした。政治の要所はすべて金の亡者どもの手に落ちた。
幼王は、魔帝の言に背かず。僅かな希望もなく、華やかな貴族の下で庶民は圧政によって日々の生活は苦しめられている。
獲物でしかない人の社会に潜り込んでまで、彼の成し遂げたかったこと。それは、私に触れること。
ただそれだけだった。それだけの為に、こんなことまでした。私はその彼のもとへ、近づいていく。
悪の元凶とされるけれど私には彼への憎しみはない。私のせいでという悲しみもない。
暴かれた闇は、いつか光によって討ち滅ぼされる。その闇と光の争いは、貴族と貴族によるものではなく。
傲慢な貴族を討ち滅ぼすのは大衆でなければ堂々巡りにしかならないだろうから、とそうルネスは私に言った。
闇は光に滅ぼされるというのは人の考え出したものであって、本来魔物である彼が口にすることではないはずのに。
思考まで人間に扮して、そしてその上で魔物が悪人を演じてきた。周りくどすぎる演技も、私の前ではしなかった。


魔帝は血だまりの中、自分の血にまみれていながらも壁に背を預けて立っていた。
彼の足下には大きな魔法陣が描かれていた。それがきっとヴァンパイアが唯一使える魔法。
血を媒体にして魔法をかける。生贄の命と引き替えに死した肉体を復活させる。
私が近づいていたことにはとっくに気づいているのに私から顔をそむけている
彼とは、不思議な縁だった。生きていた時に言葉を交わした時間なんて少なかったのに。
だけど。それでもね、息遣いは幽霊にでも音でわかる。今は肌で違いを感じ取れる。
「私も、終りだな」
いくら高位の魔物といえども、生きている限りは死が訪れないはずはなかった。
そうなったことの経緯は一部始終、私は見ているだけしかなかった。死者は生者に触れられない。
彼は本気でかからずにただ放たれる魔法を黙して受けいれた。その時、彼の意図は掴めなかった。
だから辛かった。見ているだけなのは苦しいのに、何もできなかった。声に出しても届きはしなかった。
「弟はもう良いのか?」
彼はようやく私のほうに顔を向けた。それは穏やかな顔だった。
どうして今、そんなに穏やかな顔を浮かべることができるの。魔帝だというのに、優しかった。
ずっと茶番劇をしてまで。そして殺された土地に縛られてしまった私に教えてくれた。
レイが生きていたこと、そしてある人に拾われて庇護されたことを。
私はただの人間で、彼は因縁に縛られることを厭う魔物なのにね。
「……ありがとう」
なぜか顔に微笑が浮かんでいた。何に感謝したのかわからないけれど。
レイを殺さないでいてくれた事か、私の為に蘇生術を探していたことか。
この国の憂いを絶つ為に悪役を演じてくれたことか。押しつけも強制も、私には与えられなかった。
「初めて笑みを見せてくれたな」

あの日、ヴァンパイアに私の家族を奪われて人生の淵にたった。両親と弟が殺され気まぐれであの時私だけ生かされた。
私もどうせすぐ無惨に殺されると諦めた時に現れたのはこの人。
家族を殺したヴァンパイアを引き裂くと雨に濡れた私にコートをかけてくれた。
でもその時、バンパイアがまだ息が絶えていなくて後から刺されそうだった彼を庇った。
そのことに悔いはなかった。家族を失った私は生きていてもしょうがない気がしていたから。
あの時はレイが生きていたとは思っていなかったから自分の身を投げ出した。心残りはないはずだった。
雨に打たれながら死に際にきいた言葉が気になって気づけば私は意識だけこの世に留まっていた。
そのおかげでレイが生きていることがわかったし、レイが彼を憎んでいることも知った。

「私はもういく。心残りはあるが」
すっと伸ばされた腕に引き寄せられて私は彼の両腕に収まった。
見上げて、私は右手を彼の頬にあてる。それに少しおやっという様子で見つめかえす赤い瞳。
「私は、思い出したから」
死んでいく瞬間に見た月と空に浮かぶ人影。それがずっと彼と私を繋ぐものだった。
彼のかけた蘇生術で実体を得た時に見た人影。知らない記憶と想いが私の中に流れて悟った。
それは暖かすぎて、だから胸が痛くなる。悪魔なのに人を愛し、人なのに悪魔を愛した。
その記憶と想いを抱えていたくなくて、自分と切り離したくて彼はずっとあがいた。
私を抱いたまま崩れ落ちそうな彼を支えると耳許で彼の荒い息遣いが聞こえた。
「では、ようやく区切りがついたか」
荒い息がだんだんか細くなっている。彼はもう長くない。何もしないのならば。
「私の血を、」
その先は言うことを遮られた。強く掻き抱かれたら声は消え入ってしまった。
「生き長らえて何になる。過去に抗おうとしたがこのザマだ」
それ以来、彼は喋らなくなった。彼の血が伝ったのか、私の頬は湿っている。
体は、もう私のいうことをきかなくなった。力が抜けていく。
彼の体が倒れていくのを受けとめることもできず私は幽霊に戻ってしまった。でも、これで良い。
清海ちゃん、レイをよろしくね。あの子は難しいけどあなたなら大丈夫だと思うから。
私は彼と一緒にいきましょう。それは長い歳月の中で一瞬のことだけれど。
たとえ辿りつく先が地獄でも一緒に歩いていきましょう。あなたと同じ道を行けるなら大丈夫だから。

おとぎ話にある人間の女の子と悪魔の青年。悲しい結末で終るお話だけど、私達は二人一緒だから。
遠い遠い前世。おとぎ話になった、本当のこと。死んでも一緒にはなれなかったという二人。
「行こうか」
でも、私と彼はこれからは共に歩いて行ける。差し伸べられた手に自分の手を重ねて。



落石区域を抜けた時足場が揺れだした。最初は小さく、次に大きな揺れ。
地震発生。日本でも遭った事のないほどのものが起きた。
そのせいで城が崩壊してきてる。現に瓦礫の山に囲まれてる。
落下の時よりもひどい状況。
ミレーネさん、どうしちゃったのかな……あの時手を振ってたのはどうして?
レイはミレーネさんが立ち止まってたのに何も言わずに走ってたけど。
「こうなりゃイチかバチだ。僻地に飛ぼうが恨むなよ!」
司祭の黒いお兄さんが呪文を唱えて両手を叩いて大きく広げた。
何が起こったか、と思った時には身体が軽く浮いて景色が消えたかと思うと森の中にいた。
景色が変わってる。あたり一面に霧があって、少し先はよく見えない。もしかして脱出できたの?
「ここ、森だったんだ」
「キュラの奴、やるだけやって逃げやがって……」
青筋をたてて司祭のお兄さんが言い捨てた。え、キュラ?
「さっきのってキュラの仕業なの?」
キュラってレリと靖にひきずられてるのに。そのキュラがやったの?
「お前、あいつを知っているのか」
司祭の人がきいた。その形相はすごく怖いものだった。静かなのに、さっきのキュラよりもすっごく迫力があるよ!?
「知り合いというか、というか今のとこは一緒に旅してます」
「そぉか。てぇことはだな……お前ら、全員ついて来い!」
こめかみを押さえて言った言葉はそれ。だからどうしてそうなるの?
ついていけないよ。そう思っていると司祭の人がさっきと同じように手を叩いて広げていた。
え、またさっきの? 全員って私もレイも灰色の髪の人も一緒にってこと、なの?
ヤケになってませんかー、そこのお兄さん。もう一人のお兄さん、止めてくださいよ。仲間なんでしょ?
風を切る音を耳にしたら、もう別の地点に到着していた。どうしてこうも振り回されるんだろうなあ、私は。

後悔モードに入っていたけど、よくよく見やれば到着地点はカースさんの屋敷の前だった。
私たちがここに居たこと、わかってたのかなこの人。いや、それはさすがにないよね?
ということは、このお兄さんはカースさんの知り合いなのかな。だから来たのかな。
「どうしてカースさんのお屋敷に?」
それでも一応声にしてみたらズカズカと中へ入って行く足を止めて答えてくれた。
「ここにあいつを探す道具があるんだよ」
その言葉に僅かにレイが眉をひそめた。あれ、何か心当たりあるの?
珍しく露骨だね、と言ったらレイは私を落とした。うん、今更だよ。そんな顔しなくても。
「お前一体何者だ」
灰色の髪の人がぽつりと言った。知らないの? 一緒にいるのに。
「この国の元皇子だ」
え、嘘ぉ。私がそう思っていたうちにも黒の司祭っぽい人は本当にズカズカと屋敷の中へと入った。
でもキュラのこと探しに来てたし。他人を心配出来る点はあの子供よりはましなのかも。
私も後を追ってお屋敷に入った。そういえば、門番いないけど勝手に入って良いのかな。
「鈴実! どうしたの……って。美紀と靖も。レリ?」
皆床にごろんと倒れてる。でも、その中にレリの姿だけはなかった。







NEXT

今回のイイワケ。言わせてください。 あう、なんなんでしょうかこの章は。 言いたいことの言えない……なんだか「あー、もう言いたいけど言っちゃ駄目なんだぁ!」みたいな。 ミレーネとルネスは前世の因縁で繋がってたんですよう。 ルネスは前世の記憶(+想い)があるのが嫌で、それを断とうとしたんです。 自分は自分。前世に縛られてなるものか、と必死にもがくけど逆にもがくほど締められて。 それに対してミレーネは全然、生きてる時は前世のことなんて覚えてはなかったんですが。 ルネスは前世の記憶が深く残っていたという話で。それが魔物の自分にとって不快でしかない。 で、その想いと記憶を消そうと翻弄してたんすよ。前世の相手と出会えば消えると知ったので。 この事の始まりは前世の自分とその相手が「転生したらまた会おう」とか約束したことで。 イコール、前世の恋人を見つければ前世の記憶も想いも消してしまえるだろ、って話。 ルネスにしてみればいい迷惑で。とにかく何百年も探してようやくミレーネを見つけたと。 まあ、それによって思惑どうり前世の想いは消せたんですけど。 前世とは関係なしにミレーネを好いちゃったー、と。どないして恋すんねん、ってとこですが。 いろいろ……あの2人についての設定、あることはあるんですが。 うーん、ルネスの物語と前世の悪魔の青年と人間の少女の話もいつか書いてみたいもんです。。 それがないことには読んでる人には永遠に謎になってしまう(汗 いやそれ以前に解いてない謎はたくさんあるんですけどね。